第133章

海上に薄霧が立ち込めていた。

遠くで数人がコンテナ車に、次から次へと随行実験ポッド用の栄養菌液を投入している。

アセルと唐沢優子は、その反対側に立っていた。

「どうして、彼が危険を冒したがらないと分かるの?」

「彼があなたの言うことを聞くのは、この世界に触れたその時から、あなたの言いなりになっていたからよ」

「彼はただ、あなたを拒絶できないだけ」

「あなたは彼らを尊重し、対等な生き物として扱っているつもりでしょうけど、彼らのために決定を下しているのはあなた自身よ」

アセルは唐沢優子のやり方を真っ向から突きつけた。

「あなたが彼らの代わりに決定を下したその瞬間、いわゆる尊重は消...

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