第235章

 いまだに意識がはっきりしない。

 唐沢優子の思考はまだ、夢の中の不気味な光景に囚われていた。体にはまとわりつくような冷たさが残り、まるで温度のない瞳に見つめられているかのようだ。

 しかも……二つの方向から。

 その直感はあまりに強く、彼女をこの静かな部屋にこれ以上留まらせてはくれなかった。手探りでベッドから這い出る。

「アメフラシ?」

 彼女は小声で呼んだが、返事はない。

 冷たく恐ろしい視線が、影のように付きまとってくる。

 悪夢の光景が恐ろしすぎたせいで、自分の状態にまで影響が出ているのだろうか?

 アメフラシがそばにいないと、唐沢優子は不安を覚えた。

 いつの間に...

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