第240章

唐沢優子が警戒心に満ちた目で自分を見る人魚の様子に、思わず笑ってしまった。

天変地異を引き起こすほどの特級生物で、バベルタワーさえもその名を聞けば震え上がる存在だというのに、どうして自分にそんな目を向けるのだろう。

彼女は岩礁を踏みしめ、彼へと歩み寄った。

世界はまるで終末を迎えたかのようで、空は重く垂れこみ、ほとんど大地にまで届きそうだ。

息が詰まるほどの圧迫感。

しかし、唐沢優子の心は不思議なほどに落ち着いており、一瞬、現実を忘れてしまいたいとさえ思った。

「ここにいれば、私には見える。怖くない。感覚もそれほど鋭くならないし、苦痛も感じない」

唐沢優子はまるでカタツムリのよ...

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