第292章

頭上には常に、人間の肉眼では見えない淡い緑色の物質が漂っている。ゆっくりと広がる毒霧のようだ。

この都市は、かつて疫病に見舞われたかのようだった。

至る所に、人々が1メートル以上の社会的距離を保つよう呼びかけるポスターが貼られている。身近な人に体温の低下や仲間を攻撃する現象が見られた場合は、直ちに最寄りの警備所へ通報せよ、と。

だが、警備所はどこも閉まっているではないか。

多くの店の外にある電子掲示板には、更新されないままのポスターが残っており、そこには物価や新鮮な食料の情報が記されている。

供給時間は毎週水曜日と金曜日の朝8時で、予約購入が必要とのこと。

商品欄の価格表をざっと...

ログインして続きを読む