第38章

唐柔は身内を庇うとなると理屈が通じなくなる。

「ひどすぎるわ。17号こそ被害者なのに、今になって彼を危険対象に分類するなんて」

「……だって、本当に危険なんだもの」アセルは力なく言った。

唐柔は冷たく笑う。「彼を見て。どこが危険だっていうの?」

青年はそのタイミングを見計らったかのように、彼女の腕の中でか弱い子供を演じ、彼女の首にまとわりついては悲しげな様子を見せた。本来は殺戮のためにある触手も縮こませており、かえって哀れな印象を与える。

唐柔は母親そのものだった。彼の触手を引き寄せながら問う。「もし他の実験体が彼を攻撃しなければ、彼が自分から他者を傷つけることがある?」

わざと...

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