第7章

たとえ酔いで頭が朦朧としていても、唐沢優子は街へ出てトランクに大きな箱二つ分のキャンディを詰め込むことを忘れなかった。彼女の実験体たちは甘いものが好きで、彼女もまた、彼らにそれを与えるのが好きだった。

海の底では決して味わえない甘味をほんの少し与えるだけで、この冷血な生き物たちは格別の喜びを見せるのだ。

しかし、凶報というものはいつも、漆黒の深夜に舞い込んでくる。

この世には、人知れぬ趣味を持つ者たちが一定数存在する。例えば、他人のものを好み、それを自分の手へと奪い取る快感に浸る者たち。そういった人間は決して少なくない。特に、終末の世界という圧迫の下では、資源の溜め込みに対して...

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