第85章

アセルはガタガタと震える。「ヤバい……これって漫画から出てきた人じゃない?」

ろくに勉強してこなかった弊害が、今になって現れた。万感の思いが胸をよぎるも、彼女の乏しい語彙では、ただ力強く「ヤバい」としか言えなかった。

唐沢優子が歩み寄ろうとすると、アセルに腕を引かれ、背後にかばわれた。

「私が見つけたんだから!」アセルは振り返りもせず、金髪の美男子をまっすぐに見つめながら言った。「本にも書いてあったもん。綺麗すぎるのは妖怪かもしれないって。この人、あんまり人間っぽくない気がする……あれ? なんかちょっとぼーっとしてない? ああ、それはどうでもいいか」

唐沢優子、「……」一体何を言って...

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