第91章

しかし、事態は思ったほど順調には進まなかった。

彼女たちが階下に下りる途中、田中大介の甲高い悲鳴が聞こえ、その直後、極めて恐ろしい光景を目の当たりにした。

窓の外からの光はショッピングセンターを照らし出していたが、休憩エリアの棚までは届かず、そこは底なしの闇に包まれていた。

田中大介の肩が何かに貫かれ、腕ごと片方の肩が急速に干からびていく。まるで火で炙られてしわくちゃに変形したプラスチックのようだ。

肉色の細長い口器がそこに突き刺さり、伸縮を繰り返しながら血を吸っていた。

アルセルが最初に彼を発見し、脳が反応するより先に体が動いていた。骨すき包丁で口器に力任せに斬りつけ...

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