第102章 彼女の責任を取る

マキは身体中を探ってみたが、結局ポケットから出てきたのは一束のティッシュだけだった。

彼女は気まずそうに顔を歪める。

「送金しましょうか?」

今の時代、現金を持ち歩く人など滅多にいない。

「いいえ、結構です」

速水ミオは笑顔でそれを婉曲に断った。

「携帯を車に忘れてきてしまっただけですから」

マキがさらに何か言おうとしたその時、エレベーターの表示パネルが点灯し、ドアがゆっくりと開いた。

中から大股で歩み出てきたのは、氷室ジンだった。

彼は廊下に立つ濡れ鼠のような速水ミオを見るなり、眉をひそめて詰め寄った。

「どうしたんだ、その恰好は」

氷室ジンは速水ミオの腕を掴み、強引...

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