第105章 彼らは何の関係もない

第6章

黒崎統夜は、静かに氷室ジンと視線を交わした。

その表情は凪いだ水面のように穏やかで、氷室が口にした「ミスター・S」という名の人物など、彼にとっては路傍の石ころ同然であるかのように見える。

時折、氷室は本気で感心してしまう。どうすればこれほど、いかなる状況下でも泰然自若としていられるのだろうか、と。

「氷室社長」

速水ミオは眉間に深い皺を寄せ、不快感を露わにした。

「南アフリカの案件を見せる前に、この条項については一言も触れませんでしたよね」

氷室は口元に薄い笑みを浮かべ、ミオへと視線を移した。

「だが、こうも明言したはずだ。このプロジェクトは我が社にとって極めて重要な...

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