第149章 ミスター・S、私たち以前知り合いでしたか

路地を抜けると、視界が一気に開けた。

路地の出口には、すでに黒塗りのワンボックスカーが待機しており、こちらへ滑るように近づいてくる。

男はくるりと背を向けると、速水ミオの膝裏に手を添え、ゆっくりと彼女を地面へと降ろした。

同時に、車内から伸びた手がミオを支え、シートへと導く。

「S……」

朦朧とする意識の中で、車内の人物が何かを言いかけたのが聞こえたが、その声はすぐに途切れた。

「ミスター・S」

自分を救い出した黒服の男が、車内の人物に対して恭しく頭を下げた。

「速水さんが足を負傷しています」

車内の人物もまた、仮面をつけていた。彼は右手をアームレストに預け、指の関節が白く...

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