第160章 速水カノン負傷

振り上げられた短剣が、冷たい光を放つ。

「やめて!」

夜空を引き裂くような、凄絶な叫び声。

魂さえも震わせるその鋭い響きに、出川博司の手が止まった。

切っ先を天に向けたまま、彼はゆっくりと振り返る。

屋敷の入り口には、芳坂りりに支えられた速水ミオが立っていた。

ミオの透き通るような白い肌は、アルコールのせいでほんのりと桜色に染まっている。

視界が霞んでいるのか足元はおぼつかず、りりに支えられていなければ今にも崩れ落ちそうだ。

黒崎統夜の横を通り過ぎようとしたその時、彼はミオの腕を掴み、りりから奪い取るように引き寄せた。

片腕で彼女の肩を抱き寄せ、低く重い声で告げる。

「お...

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