第195章 時間はたっぷりある、ゆっくり追うさ

その時、用事を済ませた烏丸達也が戻ってきた。彼は人波をかき分け、速水ミオと黒崎統夜をガードしながら車へと押し込んだ。

速水ナナもそれに続こうとしたが、蜂の巣をつついたような騒ぎの記者たちに再び行く手を阻まれた。無数のマイクが顔先に突きつけられ、けたたましい質問攻めに遭っている。

だが、それはもう速水ミオの知ったことではない。

車が滑らかに発進する。

ミオはシートに身を預け、大きく息を吐いた。

「危なかった……」

「何がだ?」

不意に黒崎統夜の顔が目の前に迫った。

漆黒の瞳が静かに彼女を捉え、口元には悪戯っぽい笑みが浮かんでいる。

その平然とした態度に、ミオは驚きと苛立ちを覚...

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