第98章 彼は認めた

「何ですって?」

 氷室ジンの声が、驚愕のあまり裏返った。

 電話の向こうで、黒崎利浩は受話器を耳から遠ざけ、不快げに舌打ちを繰り返した。

「大袈裟な奴だ」

「黒崎利浩……なぜですか!」

 氷室ジンはスマホを握りしめ、指の関節が白く浮き上がるほど力を込めた。

「これほど大事なことを、なぜ私に一言の相談もなく?」

「速水ミオは育ちもいいし、器量もいい。それにデザイナーとしての腕もある。今のLMジュエリーに必要な人材だ」

「そんな女をお前にあてがってやるんだ。何か不満でもあるのか?」

 氷室ジンの顔から血の気が引く。五官が苦渋に歪み、奥歯を噛み締めて必死に罵倒を飲み込んだ。

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