第10章 母のお願い

エラは、全身の毛が逆立つほどに、周囲の魔力波動がますます強くなるのを感じていた。心臓が早鐘のように打ち鳴らされ、握りしめた手のひらにじっとりと汗が滲む。

間もなく魔導師級へと昇格する召喚士として、これが何を意味するのかはっきりと理解していた。

元素の試練と、内なる幻境。

二つの過酷な試練が、立て続けに我が身を襲う。それに自分が耐えられるかどうか、確信が持てなかった。

「……何かがおかしい」

エラは警戒しながらあたりを見回す。禁断の森に、乳白色の濃霧が立ち込め始めていた。さっきまで蠢いていた周囲の魔獣たちは、まるで何か強大な存在に威圧されたかのように、突如として鳴りを潜めて...

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