第11章 新しい章

エラとノックスは、長い悪夢から抜け出すように、ようやく禁断の森を後にした。

振り返ると、森の縁は再び強化された魔法障壁に覆われ、静謐な青色の光を放っている。会長や他の長老たちは、二人が森の奥深くで戦っている間に、結界の破損箇所を完全に修復し終えたようだった。もはや、あの忌まわしき魔獣たちが外界へ逃げ出す機会はないだろう。

「……本当に、厳しい戦いだったわ」

エラはそっと呟き、隣を歩くノックスの手を強く握った。

「でも、やり遂げた」

ノックスは黙って頷いた。その赤い竜の瞳には、言葉にできない複雑な感情が渦巻いていた。母をその手で葬った痛みと、永い呪縛を断ち切った安堵感。それら...

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