第7章 異変の影

ギルドの審判廷は、鉛を溶かしたような重苦しい空気に満たされていた。

長老たちの前に一人立つメリッサの大きな瞳から、まるで糸が切れた首飾りのように、大粒の涙がぽろぽろと頬を伝っていく。

「どうして私が、あんな危険な僻地へ十年もの間、派遣されなければならないのですか! 納得できません!」

彼女はしゃくりあげ、か細く震える声で訴えた。

「これはきっと……エラ先輩の差し金ですわ。先輩はずっと、私の翡翠鳥を欲しがっておられましたから!」

数人の長老たちは、困惑したように顔を見合わせた。メリッサは芝居がかった仕草で涙を拭うと、不意に声を張り上げた。

「エラ先輩が翡翠鳥をお望みなら、そ...

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