第9章 反撃

魔力が指先に凝縮される。エラは素早く魔法の杖を振るい、紺碧の魔力障壁をノックスの周囲に展開した。

「シャドウインパクト!」

ノックスが低く吼え、その漆黒の体は一本の矢となって翡翠鳥へと射出される。竜の爪が、不吉な紫黒の光を放った。

翡翠鳥は翠色の翼を広げて辛うじて身をかわすが、ノックスの爪がその翼を深く切り裂く。

「グァッ!」

彼は短く苦痛の叫びを上げ、その瞳の赤い光は一層、血の色を濃くした。

「混血の雑種風情が、この純血の私に抗えると思うな!」

翡翠鳥は憎悪に満ちた冷笑を浮かべながら、空中で優雅に旋回する。

その瞬間、ノックスの姿が掻き消えた。再びその影が現れた...

ログインして続きを読む