第4章

ウェディングドレスは、最終的に藤原常宏が決めた。

「ドレスは白が絶対条件だ。でも、金色の刺繍でアクセントをつけるのはいい」

藤原常宏は国際的なデザイナーのアトリエに立ち、真剣な面持ちでそう要求した。

「綾香の雰囲気を引き立てるものにしてほしい」

私はそばに立ち、彼が私のためにドレスの生地を選ぶ様子を、複雑な思いで見つめていた。この男の演技力にはまったく感嘆させられる——まるで私たちの結婚式を心から楽しみにしているかのように、没頭しているのだから。

「常宏さん」

私はそっと声をかけた。

「やっぱり、自分でデザインしたドレスを着たいわ。その方が、もっと意味があると思うの」

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