第16章 お金持ち

「あ?」橋本恵理は一瞬きょとんとした。「金? 帰ってきたばかりで、どこにそんな金があるのよ。今井家のあのクソどもが、あんたに金なんて渡すわけないでしょ」

今井心晴は鞄から、あの古びた携帯を取り出した。スイス銀行の画面を開き、そのまま橋本恵理の目の前へ差し出す。

「これ、見て」

訝しげに受け取った橋本恵理は、次の瞬間、目を見開いた。

「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……億……!?」

長い長いゼロを二度数え、手がぶるりと震える。危うく携帯を放り投げそうになり、慌てて両手で持ち直した。

「8……85億!? 心晴、あんた……誘拐されたんじゃなくて強盗でもしてきたの!?」

「昔、株で稼...

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