第17章 家を一括払いで手に入れる

七三に撫でつけた髪の若い男が、いかにも苛立った様子で近づいてきた。手をひらひらと振る仕草は、まるで蝿でも追い払うようだった。

今井心晴は足を止める。つばの影に隠れた目が、ひやりと男を一瞥した。

「家を買いに来たの」

声は大きくない。けれど、無視できない冷たさが芯にある。

「家を買う?」

ウィリアムは冗談でも聞いたように、わざとらしく鼻で笑った。頭のてっぺんからつま先まで、心晴を品定めするように眺め回す。

「場所、間違えてません? 出て左に曲がって二つ先の角に行けば、ホームレスのシェルターがあるでしょう」

ウィリアムは正門のほうを指さし、ねちっこく言い放つ。

「ここのタイル、一...

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