第19章 誤解

一瞬で、個室は死んだような静けさに呑み込まれた。

今井心晴はぎこちなく首を回し、金色に縁取られたルームプレートを確認してから、目の前の古川雅哉へと視線を戻した。

V6個室……V8個室……

――やらかした。

古川雅哉の個室に突っ込んだ挙げ句、相手を阿部尚輝だと思い込んで、変態呼ばわりして罵倒した。

気まずい。

これ以上ないほど、気まずい。

誘拐犯を前にした時でさえ、こんな惨めな思いはしなかった。今井心晴は、いまこの場から跡形もなく消えたくてたまらなかった。

「その……」

今井心晴はテーブルから素早く飛び降り、置かれていたサングラスを掴んでかける。

動きだけは無駄がない。冷た...

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