第24章 分をわきまえる

「それはもちろん。口座を送ってくれれば、入金が確認できた瞬間に、私はきれいさっぱり消えてあげる」

今井心晴は通話を切った。数秒もしないうちに、スマホがぶるっと震える。銀行口座に突然振り込まれた1000万を見て、彼女は思わずくすりと笑った。漆黒の瞳には、あからさまな嘲りが揺れている。

この1000万は、口止め料なんかじゃない。あの恋人同士の足元に埋めてやる、とっておきの爆弾――そう言ったほうが正確だった。

一方その頃。振込完了の画面を見つめていた古川俊哉は、なぜか胸の奥でほっと息をついていた。ついでに、どこか歪んだ「救ってやった」みたいな陶酔まで湧いてくる。

自分はなんて寛大なんだろう...

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