第33章 忌み嫌う

今井心晴は最初から礼を言うつもりなどなかった。身体を支えて起き上がると、わざとらしく距離を置かれた皿を冷えた目で一瞥し、次いで古川俊哉の、まるで防護服でも着込んだかのような警戒ぶりを眺める。

――なるほど。

彼女は布団を跳ね上げ、ゆっくりと前へ進む。彼女が一歩出るたび、古川俊哉は一歩下がった。

今井心晴はにこやかに言った。

「私が感染症をうつすのが怖いんでしょ? そこまで死ぬのが怖いなら、昨夜どうして私を拾ったの。あの駐車場でそのまま死なせたほうが、あなたの本心に合ってたんじゃない?」

「調子に乗るな!」

図星を刺され、古川俊哉は顔を赤くして声を荒らげた。

「俺が善意出さなきゃ...

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