第36章 人に見せられない企み

翌朝――今井家の別荘。

床まで届く大きな窓から朝日が差し込み、ダイニングのテーブルを照らしている。けれど、その光はこの重たい空気を温めてはくれなかった。

今井心晴は早起きだった。ミア教授の専門外来を予約している。Mの「特権」があろうと、遅刻だけはしたくない。淡いベージュのトレンチコートを羽織り、バッグを手に玄関へ向かう。

――そこへ。

二階から、今井優奈が派手に着飾って降りてきた。腕には古川俊哉。まるで見せつけるように、ぴたりと寄り添っている。

「どこ行くの?」

優奈は新品のベントレーのキーを指先で揺らす。ちゃり、と軽い金属音が朝の静けさを引っ掻いた。

「こんな早くから出かける...

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