第37章

今井心晴は真顔でとんでもないことを言い出した。

「いま私が出ていくとなったら、荷物まとめるだけでも大騒ぎになるよね。しかも追い出されたとなれば、私だって怨みのひとつくらい抱えるし……ふふ。万が一その“気”が優奈のお腹の子に当たったら――」

わざと最後まで言い切らず、意味ありげに、今井優奈のまだ平らな腹をちらりと見た。

その一言で、今井洋子の顔色がさっと変わる。

「そ、それは……」

洋子は迷って、今井茂雄を見て、それから床に倒れたままの優奈へ視線を戻した。

「ママ! そんなの信じないで! この子、適当なこと言ってるだけよ!」

優奈はこの手が効かないと分かった途端、腹痛の芝居も忘れ...

ログインして続きを読む