第38章 専用駐車スペース

今井心晴は眉をひそめた。腹の奥で、カッと火がつく。

普通なら引くところだろう。だが彼女は一切譲らなかった。シフトをDに入れ、車体の鼻先をほとんどマイバッハのバンパーへ貼り付けるように押し当てる。ミリも下がらない。

こうして二台の高級車は、狭い通路のど真ん中でにらみ合った。どちらも、後退という選択肢はない。

その状況に、黒いマイバッハの窓がゆっくり降りる。現れたのは古川雅哉――冷ややかで、わずかに苛立ちを滲ませた顔だった。

「下がれ」

古川雅哉は、目が痛いほど赤いマセラティを見据え、淡々と言い放つ。

「ここは医療スタッフと特別枠の専用スペースだ」

「専用?」

今井心晴も窓を下ろ...

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