第49章 誘拐

「……でもさ」

今井心晴は目を細め、冷えた光を宿したままハンドルを乱暴に切った。車体がきゅるり、とタイヤを鳴らし、五つ星ホテルへ続く道へ――そう見せかけて。

「その前に……私たち姉妹で、そろそろ“古い勘定”をきっちり清算しよっか」

車はやがて、西の郊外にある廃工場の脇へ向かい、そこにひっそりと残された廃別荘の前で止まった。

人の気配は皆無。

からすの鳴き声だけが、だだっ広い荒れ地に、ぐわぁ、ぐわぁ、と不吉に反響している。

「降りて」

今井心晴は運転席を降りると、助手席のドアを開け、今井優奈をひょいと――まるで雛鳥でも掴むみたいに引きずり出した。

「い、痛っ……!」

抵抗する...

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