第52章 邪魔する

彼は含みのある視線を遠くへ投げた。古川俊哉とその妻――。

ちょうどその時、古川父と古川母は顔を寄せ、ひそひそと囁き合いながら、担架で運ばれていく今井優奈を険しい目で追っていた。

「あなた……あの録音、本物なのかしら」古川母が眉をひそめる。「さっきの女の反応、わざとらしすぎたわ。それに、嘘なら警察の前で流すなんて……心晴がそんな真似、できる?」

「ふん。真偽はどうでもいい。婚約は破談だ」古川父が鼻を鳴らす。「古川の名に泥を塗られてたまるか。それに今井心晴って女も――ただ者じゃない。あの一家とは距離を置くに限る」

そんなやり取りを耳にしても、今井心晴の胸はぴくりとも動かなかった。

彼女...

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