第53章 特権

【K:着いた。いま並んでる。Mさんってほんと顔が利くよね、あんな大物の予約枠まで取れるなんて】

【M:並んでる? VIP専用の通路から入れって言っただろ。あの看護師、何も言わなかったのか】

【K:平気。待つのも別に嫌いじゃないし。今日は暇だしね】

画面の向こう。

古川雅哉は、人目につかないオフィスに腰を下ろしていた。片面鏡越しに、廊下のベンチへ座る今井心晴を眺めている。

今日はわざわざ病院まで来た。彼女の診察をこの目で見届け、自分の推測が当たっているか確かめるために。

――やっぱり、そうだ。

「このバカ……特権があるのに使わねえで、わざわざ一般人みたいに並びやがって」

雅哉は...

ログインして続きを読む