第54章 絶縁

「身代わり……か?」今井茂雄は一瞬ためらった。確かに手はある。だが、危険が大きすぎる。

「パパ! 何を迷ってるの? 今井家が破産するのを黙って見てるつもり!?」

一家が、今井心晴に罪をかぶせる算段をめぐらせていた、そのとき――。

別荘の正門が、外からぎいっと押し開けられた。

黒ずくめの今井心晴が、無表情のまま入ってくる。手にしているのは書類の束。ここ数日、弁護士に作らせた絶縁状と――株式譲渡契約書。

「身代わりを探してるって聞いたけど?」

心晴はリビングの三人を冷ややかに見渡した。汚いドブネズミでも見るような眼で。

「ちょうどいい。かぶるべき罪は、ちゃんとかぶってもらわないとね...

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