第58章 天才画家

橋本恵理は胸をぐっと張り、自信たっぷりに言い放った。

「あなたがうんって言ってくれさえすれば、あとは全部あたしに任せて。会場の手配も、メディアへの根回しも、話題づくりも――ぜんぶまとめて引き受けるわ! 絶対にあなたを、北米でいちばん謎めいた天才画家に仕立ててみせる!」

そう言い切ったあと、橋本恵理はふいにぱちりと瞬きをし、どこか含みのある調子に変わった。

「心晴、想像してみなさいよ。古川雅哉が、自分の助けたあの野良猫が実は一流のアーティストでもあったって知ったら、あの氷みたいな顔にどんな表情が浮かぶと思う? 診察料の100万、安く取りすぎたって後悔して、逆に自分からあなたに貢ぎたくなっ...

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