第5章

表参道のカフェ。窓から差し込む陽光が、白いテーブルクロスの上に降り注いでいる。

千鶴は隅の席に座っていた。向かいにいるのは大学時代の同窓生三人だ。

「千鶴、今日顔色いいね」

後輩の小百合が笑いながら言った。

「最近何かいいことでもあった?」

千鶴はコーヒーカップを持ち上げ、そっと一口含む。

「まあね。これからすごく大事なことをしに行くの」

「何それ?」

もう一人の友人、美咲が興味深そうに尋ねた。

「アフリカへ行くの」

千鶴は平然と言った。

「藤原教授に誘われて、中央アフリカのチャド湖地質調査プロジェクトに参加することになった」

三人は瞬時に目を見開いた。...

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