第10章

 夏川家。

 鈴鹿柚葉がシャワーを浴び終え、ベッドに横たわった瞬間――ぶぶぶ、とスマホが震えた。

 眉をひそめて手を伸ばす。こんな時間に、いったい誰だ。

 画面を見た途端、柚葉はわずかに息をのむ。指先でスライドし、通話に出た。

「高山さん……こんな夜更けに、どうしました?」

『申し訳ありません、柚葉さん。こんな時間に……恵美さんが危篤状態なんです。仁生病院に運ばれました。来ていただけませんか?』

 電話口の声は焦りに滲み、鈴鹿恵美への心配がそのまま形になっていた。

 柚葉の表情がすっと硬くなる。

「叔母さんが……どうして危篤状態に?」

 問いながら、彼女はすでにベッドを降り...

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