第11章

 伊能黎真の視線が、窓に落ちた。

 鈴鹿柚葉もつられてそちらを見る。ぱちりと瞬きをして、「ここ、何階?」

「三階」

「若様、配管とか登れるの?」

 伊能黎真は眉を上げる。

「俺を舐めてる?」

 鈴鹿柚葉は口の端を引いた。

「まさか。命の恩人だもん」

 伊能黎真は声をぐっと落とす。

「すぐ二回目の捜索が入る。今すぐ出るぞ」

 二人で窓際へ寄る。

 伊能黎真が窓を押し開けた瞬間、夜風がどっと流れ込んできた。湿った土の匂いが混じっている。

 鈴鹿柚葉は身を乗り出し、下をちらりと覗く。

 三階は高すぎるわけじゃない。けれど下はコンクリだ。飛び降りれば音も大きいし、下手をした...

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