第12章

「柚葉?」

 夏川瀬尾がソファからびゅんっと跳ね起き、鈴鹿柚葉の目の前まで突進した。頭のてっぺんから足先までせわしなく眺め回す。

「どこ行ってたんだよ、柚葉! なんで今まで帰ってこないんだ?」

 夏川雅之は鈴鹿柚葉の姿を認めると、通話相手に短く告げた。

「もう探さなくていい」

 電話を切り、足早に近づく。眉間に皺を寄せたまま柚葉を見据え、ふと右手の包帯に気づいた。

「手、どうした。怪我してるのか?」

 瀬尾はまだ言いたそうにしていたが、視線が傷口に落ちた途端、声が一段低くなる。

「……どういうことだよ。ちょっと出ただけで怪我って。電話も出ないし、メッセージも返さないし。俺と兄...

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