第14章

 渡辺花子は顔を曇らせ、周囲をさっと見回すと声を落として釘を刺した。

「今夜の客は、金持ちか権力者ばっかりよ。余計なこと言わないで」

 鈴鹿柚葉は彼女を見つめ、探るように口を開く。

「渡辺さん。中村さんが着けてたブレスレット、私、見覚えがあるんですけど」

 渡辺花子が怪訝そうに眉を寄せる。

「中村さん? 誰の話。ブレスレットって?」

「いえ、何でも」

 鈴鹿柚葉はグラスを傾けながら、胸の内で舌打ちする。――知らない? 本当に?

 そのとき。

 鈴鹿星乃が新沢逸也の腕に絡みつき、螺旋階段を降りてきた。

 淡いピンクのロングドレス。裾には細かなストーンがびっしりと散りばめられ...

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