第21章

 鈴鹿柚葉は黙って彼を見つめた。夏川勝也は苦々しく口角を引きつらせる。

「……あのときは焦ってた。音子に何かあって、頭が真っ白になって……お前がやったんじゃないかって」

 口にした瞬間、自分でも頬が熱くなるのがわかったのだろう。勝也は視線を泳がせた。

「私が、音子を傷つけたって思ったの?」

 鈴鹿柚葉は淡々と言う。

 夏川勝也は唇をきゅっと結び、目の奥に悔いの色を走らせた。

「……古い倉庫で見つけた。音子が好きじゃないけど、だからってそこまで悪質なことはしない」

「それに、あの子がああなったのは横取りしたせいじゃない?わざわざ構う筋合いもない」

 鈴鹿柚葉は肩をすくめる。

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