第24章

「先に食べよう。食べ終わったら話すから。こんなに久しぶりで、しかも一緒に食事するって約束したんだ。一回の食事くらい、俺に時間くれない?」

 料理が運ばれてくると、新沢逸也はステーキを鈴鹿柚葉の前へすっと押しやり、サラダも彼女の左手側へ寄せた。やけに甲斐甲斐しい。

 鈴鹿柚葉は眉をひそめる。今日の彼は、どうにもおかしい。

 口を開こうとした、その背後から低い声が落ちてきた。

「偶然だな。君もここで食事?」

 聞き慣れた声に、柚葉の動きが止まる。振り返ると、深いグレーのスーツを着た伊能黎真が立っていた。

「……偶然。伊能さんも、食事?」

 黎真は新沢逸也を一瞥する。

「彼と?」

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