第25章

 鈴鹿柚葉が腰を下ろすと、夏川音子は手にしていた花を置いた。

「お姉ちゃん、今日……デートだったの?」

「違う。友だちとご飯行っただけ」

 柚葉が横目でちらりと見る。

「もうすぐ誕生日でしょ? 今回、お姉ちゃんが家に戻ってきて初めての誕生日だから、ママは盛大にやりたいの。どう思う?」

「そんな、面倒なこと――」

 反射的に断りかけた柚葉を、山瀬美玖がにこにこと遮った。

「面倒じゃないわ。パパがもう秘書に手配させてるの」

 美玖は声の調子まで柔らかくする。

「うちの姫様が帰ってきて最初の誕生日だもの。パパもママも、あなたを長いこと取り戻せなかった。だから――絶対に、どこにも我...

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