第26章

「そんなはずない……!」

 夏川音子はその場で呆然とした。「だって、あの人が『チーフデザイナーの予約、取ってあげる』って。チーフデザイナーに私のためのジュエリーをデザインしてもらえるって言うから、来たのに……」

 新沢伊尾は言葉を失った顔でため息をつく。

「お客様、当社チーフデザイナーのご予約は、すでに半年先まで埋まっております」

 そう言うと、彼は警備員に目を向けた。

「この方を外へお願いします」

 警備員の鋭い視線が夏川音子に突き刺さる。

「ご退出ください」

 夏川音子はふいに何かを思い出したように、鈴鹿柚葉をにらみつけ、指を突きつけた。

「私が出ていくなら、あの人も出...

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