第28章

 鈴鹿柚葉は気に留めず、牛乳を持ち上げて一気に飲み干す。コップを置き、口元をぬぐうと、そのまま二階へ上がろうとした。

「柚葉ちゃん」

 夏川瀬尾に呼び止められる。

「もうすぐ新学期でしょう。家の近くの学校に転校する気はない?」

 鈴鹿柚葉は、はっと足を止めた。

 ――そうだ。

 ちょうどそのとき、山瀬美玖が階段を下りてきて、瀬尾の言葉を耳にする。

「いいじゃない、柚葉ちゃん。たしか柚葉ちゃんってY大でしょ? この辺ならK大があるし、通いやすいよ。近くの学校、どこも評判いいしね」

 鈴鹿柚葉は少し考えた。

 前の学校は、鈴鹿家がわざと回した先だった。

 本来ならもっと上を狙...

ログインして続きを読む