第33章

 伊能黎真は純粋に首を傾げた。

「どうやって?」

「実名で通報する」

 伊能黎真は一瞬、間が抜けた顔になる。

「……それだけ?」

 鈴鹿柚葉はカップを持ち上げ、ひと口。

「通報って、いちばん手っ取り早いでしょ。資料も揃ってるし、証拠も十分。出して、あとは向こうに調べさせればいい」

 伊能黎真は思わず吹き出しそうになった。

「容赦ないな」

 鈴鹿柚葉はスマホを取り、発信しようとして――指が止まる。

 少し考え、連絡先から夏川理人の番号を探してかけた。

「柚葉ちゃん?」

 夏川理人の声は、意外そうで、どこか弾んでいた。

「ついに腹を括った? こっちに――」

「違う。別...

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