第34章

「今度こそ、あなたを正式にK市のみんなに紹介するわ。夏川家のお姫さまが帰ってきたって、しっかり知らしめないとね」

 山瀬美玖の浮き立った様子を見て、鈴鹿柚葉はもう遠慮しなかった。ふっと笑う。

「ありがとう、ママ」

 山瀬美玖はジュエリーボックスを一つずつ閉じていく。

「全部、あなたの部屋に運ばせるわね」

「うん」

 部屋へ戻ると、山瀬美玖が運ばせた宝飾品は、ジュエリールームを埋め尽くす勢いだった。鈴鹿柚葉がベッドに身を沈めた、その直後――研究所を張らせていた部下から着信が入る。

「もしもし」

『ボス。例の研究所、ここ二年ほど前に特殊案件を受けてました。委託側の要件は、深海生物...

ログインして続きを読む