第36章

「鈴鹿星乃?」鈴鹿柚葉は一瞬きょとんとした。

伊能黎真は首を振る。

「夏川音子だ」

「え、あの子? なんで痩せ薬なんて買うの。飲んでるところ、見たことないけど」

 柚葉は腑に落ちない顔をする。

「そこまでは分からない。ただ……調べてみたら、どうやら誰かに渡してる」

「渡してる?」

 柚葉は思わず眉を上げた。

「痩せ薬をプレゼントって……クセ強すぎない?」

「名媛の界隈の、お嬢様方に何人も配ってるみたいだ。それも格安で、いちばん粗悪なやつをな」

 黎真は声を落とす。

「表沙汰になったら、あいつは面倒なことになる」

 まさか夏川音子がそんなことをしているなんて。柚葉は完全...

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