第37章

夏川瀬尾は顔も上げないまま言った。

「さあな」

夏川音子は銀のフォークをきゅっと握り直す。

「じゃあ勝也兄さんは? 今夜、帰ってきてご飯食べるの?」

「知らない。本人に聞け」

夏川瀬尾はそう言い捨て、フォークを置くと椅子を引いて立ち上がり、そのまま自室へ戻っていった。

夏川音子はその背中を睨みつける。胸の奥で、悔しさがどろりと渦を巻いた。

瀬尾兄さんは昔から、彼女に対してどこか淡白だった。理由も分からないまま今日まで来たのに、鈴鹿柚葉が戻ってからは、話すことさえ億劫そうだ。

――なんでよ。

自分だって夏川家で暮らしてきた。小さいころから一緒に育ったのに。柚葉と同じように。

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