第40章

 夏川音子は唇をわなわな震わせ、縋るような目で彼女を見上げた。

「お姉ちゃん、わ、私……返すから。絶対、返す……!」

「何で返すの? 何で勝也兄さんに返すつもり?」

 鈴鹿柚葉は嘲るように目を細める。

「こんな大事、父さん母さんと兄さんに言わないつもり? どうせいずれバレるよ。そのとき、あの人たちがあなたをどう見るか、考えたことある?」

 夏川音子の頬を涙が伝う。怖いから言えなかった。前だって危うく出されるところだったのに、これが知られたら、今度こそ家族は自分を許してくれるのだろうか。

 鈴鹿柚葉は眉を上げて畳みかける。

「それに、あなたの尻拭いしてる人。父さん母さんが知ったら...

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