第47章

 鈴鹿柚葉は目を細め、試薬瓶を気づかれないようそっと元の位置へ戻した。ほかの試薬や器具の配置ももう一度確認する。目立った破損がないと確かめてから、扉に鍵をかけて研究室を出た。

 帰り道、ハンドルを握りながら信号待ちでふと思う。

 ここ数日、伊能黎真は食事に誘ってこなかった。メッセージのやり取りは毎日あるのに、通話は少ない。

 以前の自分なら、こんなこと気にも留めなかったはずだ。

 けれど――今は違う。

 認めたくなくても、認めざるを得ない。

 伊能黎真の存在が、鈴鹿柚葉の中でどんどん大きくなっている。今まで味わったことのない感覚。恋しくて、胸の奥がじわりと熱くなる、この感じ……彼...

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