第48章

 鈴鹿柚葉は着信表示をちらりと見た。従弟の山瀬織斗からだ。

 そのまま通話に出る。

「たまには外で一杯どう? 家にこもってばっかじゃん」

 時刻は五時を回ったところ。今日は学校にも行っていないし、確かに予定は空っぽだ。

「いいよ。場所送って」

 山瀬織斗からすぐに位置情報が届く。鈴鹿柚葉は車のキーを掴んで玄関へ向かい、出る前に執事へひと言だけ残した。

「山瀬美玖に聞かれたら、遊びに出たって言って」

 ガレージで黒のスポーツカーを選び、そのまま走り出す。

 二階の窓の陰で、夏川音子が彼女の背中を見送った。スマホを取り出し、登録してある番号を開いて短く打つ。

『彼女、一人で出ま...

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