第53章

 宴会場は熱気に包まれていた。

 山瀬美玖が挨拶を終えて壇上を降りると、白髪まじりでも背筋の伸びた老人が、杖をつきながら彼女のほうへ歩いてくる。

 老人の後ろには、若い男が二人。

「新沢のおじい様じゃない? ずっと表に出てこなかったのに……やっぱり夏川家の顔は違うわね」

「後ろにいるの、新沢家の次期当主でしょ。いやぁ、いい男だな」

「新沢家、最近は縁談を探してるって聞いたけど……まさか夏川家を狙ってたりして」

「ないない。夏川家のお嬢さん、伊能様と一緒なんでしょ? それに婚約だって……」

 新沢おじい様だと気づいた客たちが、声を潜めて囁き合う。

 鈴鹿柚葉は、老人の後ろに控え...

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